自由きままに芸術鑑賞

自由気ままに芸術鑑賞

~舞台人による、舞台人のための鑑賞記録~

モネ展~『印象、日の出』から『睡蓮』まで~

モネ。

まるで夢の続きを描く様に、やわらかな光と植物と水を描くモネ。植物や小川に生まれたのならば、誰しもがモネに描いて欲しいと懇願するだろう。それが私の、モネに対する第一印象だった。

 

淡く、穏やかで、美しい。

そう発せずにはいられない程の絵画に、私はしばらくの間「すぎる」と評価していた。

淡すぎ、穏やかすぎて、美しすぎる。

きっと自分がひねくれていたんだと思う。若すぎるあまりにその純粋さを素直に受け入れることが出来なかった。ピカソを評価する方が玄人っぽい、ダリを評価する方が知識人っぽい。そんな風に思ってはいなかっただろうか…。

「有名な画家、睡蓮の人」という以外に特に大きな思い入れもなく日々は過ぎていった。 そんな時上野でモネ展をやると知って、有名な画家の作品は観ておこうという程度の低い動機で観に行った。

もし、この展覧会に4階がなければ、私のモネへの印象はさして変わらなかったであろう。世間がどんなに彼の絵画を評価しようと、「淡くて美しい絵画を描く人だよね、『睡蓮』観たよ」で終わらせていたはずだ。

しかしこの展覧会に4階があったから、私は強く、深く打ちのめされた。 モネという人間の生き様に、そして彼の画家としての生き様に…

最終フロアにたどり着いた時目にしたのは、大きく横長に広がったキャンバスに塗りたくられた赤・緑・黒。

濃く、荒々しく、美しい。

何と激しく心を震わせる絵画の数々だろう。私はそこに立ちつくすより他なかった。

しばらくして彼が白内障を患い、丁度この頃寄り添ってきた妻を亡くしたことを知る。老いと対面した時期に描いた数々だというのか。

それまでに扱っていたのとは180度違う、モネの色。 混ざった色の中に埋もれそうにも際立つ「日本の橋」や「睡蓮」。 手を延ばしても届かない色感の彼方に、それでも手を伸ばし続けたモネ。 草花に包まれる、老いた巨匠の大きな背中が目頭に浮かんだ。

誰しもが年をとる。
時に人はそれを恐れる。

しかし彼は進んだのだ。
彼の在り方で、色を失う恐怖を抱えながらも、魅せた老いの美しさ。

そうして恐怖と共に歩んだ先にあるその作品は、時代を越えて私の心を捉えて止まないのだ。

詳細

鑑賞日/2015年11月29日(日)

 

モネ展、入り口 

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スペシャルサポーター田辺誠一による『モネ in JAPAN』

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