自由きままに芸術鑑賞

自由気ままに芸術鑑賞

~舞台人による、舞台人のための鑑賞記録~

『牧神の午後』-ヴァーツラフ・ニジンスキー

この作品のどれだけ観たかったことか。
話を聞けばバレエらしからぬ平面的な動きをするという、本を読めば高さのないバレエだという。

 

そんなバレエがこの世にあるのかと疑問視していたが、愚問は観劇中に払拭された。踊りというよりも動く絵画を観ていると言った方が正しいのだろう。

エジプトの壁画を参考にしたという振付は壁画そのものであった。柔和で中性的なニジンスキーの外面からは想像もつかない、どこまでも革新的で挑戦的な振付。そして、この作品を世に残すこととなる理由がそのエンディングにある。

ニンフに恋をする牧神というストーリーが美しい情景と音楽と共に描き出されているのだが、そのエンディングはニンフが残したスカーフに牧神が自慰をするというものだ。
現代でも目を見張る様な振付にも関わらず、それをやってのけてしまうというのだからどうだろう。

非常に具体的、かつ明白な形でエンディングは訪れ、観客に戸惑いを残したまま幕を閉じる。

その後味を好むか好まざるかは人を選ぶだろうが、観客に半ば放り投げられたエンディングをいかに受け入れ、解釈していくかが我々観客に与えられた使命でもあろう。この効果は2次元的世界観の中でこそ発揮され、許される。

そしてこんなことも閉じ行く幕を眺めながら思ったのだ。「幕が閉じた後のざわめきすら、ニジンスキー計算済だったのではないか」と。

音楽を聴くだけでは分からない、バレエ界を震撼させた作品は一見の価値ありだ。

 

公演詳細

会場/東京文化会館
日時/2012年1月12日(木)
   2012年1月13日(金)
   2012年1月14日(土)
開演/2012年1月12日(木) 19:00~
   2012年1月13日(金) 19:00~
   2012年1月14日(土) 15:00~

プログラム

『薔薇の精』(“Le Spectre de la Rose”)
初演/1911年4月19日 モンテカルロ歌劇場
東京バレエ団初演/2006年4月8日 ゆうぽうと簡易保険ホール
振付/ミハイル・フォーキン
装置・衣裳/レオン・バクスト
台本/ジャン・ルイ・ヴォードワイエ(T.ゴーティエの詩による)
音楽/カール・マリア・フォン・ウェーバー(編曲/L.H.ベルリオーズ

『牧神の午後』(“L'Après-midi d'un Faune”)
初演/1912年5月19日 シャトレ劇場
東京バレエ団初演/2006年4月8日 ゆうぽうと簡易保険ホール
振付/ワスラフ・ニジンスキー
装置・衣裳/レオン・バクスト
音楽/クロード・ドビュッシー

『レ・シルフィード』(“Les Sylphides”)
初演/1907年2月23日 マリインスキー劇場
東京バレエ団初演/1969年5月3日 東京文化会館
振付/ミハイル・フォーキン
音楽/フレデリック・ショパン

ペトルーシュカ』(“Petrouchka”)
初演/1911年6月13日 パリ、シャトレ劇場
東京バレエ団初演/2006年4月8日 ゆうぽうと簡易保険ホール
振付/ミハイル・フォーキン
装置・衣裳/アレクサンドル・ブノワ
台本/アレクサンドル・ブノワ、イーゴリ・ストラヴィンスキー
音楽/イーゴリ・ストラヴィンスキー

キャスト

東京バレエ団
客演/ウラジーミル・マラーホフ、ディヌ・タマズラカル 

『薔薇の精』(“Le Spectre de la Rose”)
薔薇/ディヌ・タマズラカル
少女/高村順子(1/13)、吉川留衣(1/12、1/14)


『牧神の午後』(“L'Après-midi d'un Faune”)
牧神/ウラジーミル・マラーホフ(1/12、1/14)、後藤晴雄(1/13)
ニンフ/井脇幸江(1/13)、上野水香(1/12、1/14)
他:東京バレエ団

『レ・シルフィード』(“Les Sylphides”)
プレリュード/吉岡美佳(1/12、1/13)、小出領子(1/14)
詩人/ウラジーミル・マラーホフ(1/13)、木村和夫(1/12、1/14)
ワルツ/佐伯知香(1/13)、高木綾(1/12、1/14)
マズルカ/奈良春夏(1/13)、田中結子(1/12、1/14)
コリフェ/乾友子-渡辺理恵(1/12、1/14)、矢島まい-川島麻実子(1/13)
他:東京バレエ団

ペトルーシュカ』(“Petrouchka”)
ペトルーシュカ/ウラジーミル・マラーホフ
バレリーナ/小出領子(1/12、1/13)、佐伯知香(1/14)
ムーア人/後藤晴雄(1/12、1/14)、森川茉央(1/13)
シャルラタン/柄本弾
他:東京バレエ団

スタッフ

総監督/佐々木忠次
芸術監督/飯田宗孝
バレエ・ミストレス/友田弘子、佐野志織
芸術監督補/高岸直樹
ゲスト/ウラジーミル・マラーホフベルリン国立バレエ団)、ディヌ・タマズラカル(ベルリン国立バレエ団
リハーサル指揮/ジャン=マリー・ディディエール
指揮/ワレリー・オブジャニコフ
演奏/東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
ピアノ/尾崎有飛(『ペトルーシュカ』)
出演/東京バレエ団
照明/高沢立生
芸術監督/立川好治
事務局長/高橋典夫
主催/公益財団法人日本舞台芸術振興会 東京バレエ団
後援/東京バレエ協議会
制作/公益財団法人日本舞台芸術振興会
協力/東京バレエ学校

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