自由きままに芸術鑑賞

自由気ままに芸術鑑賞

~舞台人による、舞台人のための鑑賞記録~

『チャイコフスキー記念 東京バレエ団<ニジンスキー・ガラ>』

ニジンスキー・ガラ。

「ガラ」とはフランス語で「特別な催し」の意味。本公演は、ニジンスキーが振り付け、かつてニジンスキーが踊った、計4作品を一公演で堪能できるという、「特別」と言うに相応しい公演であった。

実に贅沢な140分、ニジンスキー色に染まり切る見応えある公演だった。

 

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大学時代、作曲家ストラヴィンスキーの虜になってからというもの、「一生の内、一度でいい。彼のバレエ音楽を生で聴きたい。」とずっと思ってきた。

ストラヴィンスキーの音楽のうち、特に私の心を動かしたのが『春の祭典』と『ペトルーシュカ』だったのだが、ここで初めて天才バレエダンサー、ニジンスキーと出会うこととなる。

その容姿と才能を持ち合わせながら、短命なバレエ人生だったニジンスキー。にも関わらず彼の名はバレエ史に深く刻まれ現代に評価される振付を次々と生み出していったのである。

そんな彼と出会い、この2作品はますます私の中で特別なものとなり、最終的には、「春の祭典ペトルーシュカ=ストラヴィンスキーニジンスキー」という構図が出来上がってしまったくらいだ。

そうして私の興味、好奇心は音楽を聴くだけにはとどまらず、「いつか観たい」に変わって行った。天才作曲家が紡ぎ出した聴くだけでも色濃い音楽を、どうして振り付けることができよう。そんな不可能とさえ思える作品を可能にした作品を、想像すればするほどに胸が焦がれたが、私に出来たのはただ待つということだけであった。

その「いつか」を叶えてくれたのが、東京バレエ団による『ニジンスキー・ガラ』である。 本公演を知った時、まさかと思った。

ニジンスキー振付作品を上演するだけでも十分なのに、一公演分ニジンスキーに染め上げるとは。

あまりにも贅沢、そして強烈。これは興奮以外の何者でもなかった。 公演内容は『薔薇の精』『牧神の午後』『レ・シルフィード』そして『ペトルーシュカ』。 大学の授業を通して知っていたのは、『牧神の午後』と『ペトルーシュカ』のみだったが、自分の知っている作品が2つも上演されるというだけで満足で、かつて観た映像を頭の中で幾度となく繰り返した。

そして自分の人生に感謝もした、「これから観られるのだ、生でダンサーが踊るところを」と。