自由きままに芸術鑑賞

自由気ままに芸術鑑賞

~舞台人による、舞台人のための鑑賞記録~

ハリーポッター イン コンサート

今もなお、愛され続けているあの名作「ハリー・ポッター」。その映画音楽を生演奏し、映画を上映する企画があった。

以前も「ウェスト・サイド・ストーリー」で同企画があり鑑賞したことがあったため、今回もと抽選チケットに応募し、見事鑑賞のチャンスを得たので行ってきた。

 

舞台上にはオーケストラーの席が組まれ、正面には大きなスクリーン。上手側からの鑑賞だったが、見切れや見づらさは全くなく、終始心地よく鑑賞画出来た。いつの頃からかこのような企画流行っているが、映像と音楽を切り離す技術が進化しなければ、こういった企画が行われようとは想像もつかなかっただろう。

毎回思うことだが、何と贅沢で、夢のある企画なのだろう。そして親切である。特にクラシックは格式高いと感じている方には、この「~ イン コンサート」シリーズを是非オススメしたい。

さて、今回鑑賞して分かったのは「BGMにはBGMの良さ」があるということだ。

つまり、必ずしも映画音楽を生演奏することが良い、とは言い切れないという結論に至ったのである。

どういうことかというと、映画はハリーと魔法の世界が繰り出す物語が主体だ。そこに生演奏を付けると、どうも音楽の流れるシーンだけ、音楽が浮き出てしまって映像と分離してしまっているようで仕方なかったのだ。

映画で観ている時は音楽が流れていることにも気付かず、「実は感情を揺さぶっている」という効果を担っている。それこそがBGM(back ground music=背景音楽)のあるべき姿である。写真に例えれば、ピントを合わせるべきは背景ではなく、撮影しようとしている被写体である、ということだ。今回の企画が悪かったという訳ではない。ただ、音楽がない部分は被写体にピントが当たり、音楽がある部分は背景にピントが当たるというような入れ変わりに慣れず、違和感を覚えずにはいられなかったということだ。

また、これらの企画で特徴的なのは、指揮者は映像を確認しながら指揮をするということだ。通常のコンサートであれば、指揮者の概念をタクトを通して演奏者に伝え、音楽を奏でていく。しかし「~ イン コンサート」シリーズは、指揮者が映像を確認し、タイミングを確認しながらタクトを振っていく。それをもとに演奏者が音楽を奏でるのだ。

これは非常に高い技術を要される訳だが、勿論指揮者によって微妙にタイミングが異なるし、日によってもタイミングが変わる。人間だから当然のことだ。これを良しとするか否とするかは人によって意見が分かれるところだろうが、いずれにせよ、映画のBGMとバッチリ同タイミングで演奏できるわけではない。自分のイメージしている音楽とちょっとズレたりタイミングが速かったりすると、「そうじゃなくて…」といちいちつっかえてしまう人もいるだろう。(私みたいに…)

映画音楽をコンサートとして行うことが、デメリットしかない訳ではない。今回、私が思いがけず感動したのが、ロンを中心に行われるチェスゲームのシーンだ。実はこのシーン、昔からのお気に入りのシーンなのだが、全くと言っていいほど音楽を覚えていなかった。いつもの通り、そろそろあのシーンが来るなと思っていた時に、その音楽が始まった。

もの凄い迫力、そして臨場感。こんなにかっこいい音楽であったかと、画面よりもオーケストラを見入ってしまった。ここはほぼ台詞がないということもあり、ほぼ音楽がメインのシーンなので効果があったとも言えようが、私の胸に、そして耳に、この“THE CHESS GAME”は深く刻まれたのである。こういう新たな発見は、ライブでなければあり得ないことなので、この企画のメリットといえる。

ところで、ハリポタファンが一度に集まると予想されたこのコンサートでは、意外にもコスプレイヤーは少なく、予想外の展開となった。コスプレ観客で埋め尽くされているならば私もと思っていたが、こういうところに臆病者の私は、鞄に忍ばせたグリフィンドールのマフラーを、取り出すことは一度もなかったのだった…

“THE CHESS GAME”の音楽は、こちら。

* 是非「いいね!」や「ツイート」をお願い致します
facebookページ「LOVE performing arts」への参加も宜しくお願い致します