自由きままに芸術鑑賞

自由気ままに芸術鑑賞

~舞台人による、舞台人のための鑑賞記録~

『アラジン』をブロードウェイで観た感想

ブロードウェイで観た『アラジン』。

そこには自分が想像しなかった2つの素晴らしさがあった。

 

 

目次

f:id:love-performing-arts:20180322120200j:plain

エンターテインメントの本場

ミュージカル、ファンタジー、コミカル、ラヴ、フレンドシップ、マジック…この全てをひとまとめに仕上げた作品が『アラジン』だ。

日本で既にご覧になった方も多いだろう。しかし、その迫力とはまた一味違うのがここブロードウェイの『アラジン』なのだ。

もちろん、演出や衣装が違う…という訳ではない。でも、その「何か」が違うと思ったのはおそらく地に根付いた「エンターテイメント」の文化だろう。劇場内の呼吸が舞台と観客の間でピタッと吸い付くようで、それは非常に心地良い体験だった。

上演しているから静かにしなくてはいけない…のではなく、これから始まる「わくわく・どきどき」にみんなが息を潜めて待っている。面白いことが起これば「どっ」と笑う。ジャスミンが泣けば、みんなが身を乗り出して、アラジンとジャスミンが結婚すればみんなが心の底から祝福する。

何と言ったら良いのだろう…作品を観ているのではなく、作品を体感していた。何かのキャラクターとして作品の中に出演している訳ではないのに、その一部に観客全員がなっている。

これは日本ではあまり体感したことのない感覚だった。舞台と客席の間に境界線がない。

ショービジネス…というのは見せるだけでは成り立たない。魅せて観られて、初めて成立するものなのだ。それを観客が一番よく分かっている…そんな感じだった。

 

終演後の募金活動

更に素晴らしいことには、カーテンコール後に募金活動があったこと。

キャスト全員が舞台上に立ち「AIDSに苦しむ人たちへの募金」を呼びかけていたのだ。募金は$1からで、いくら寄付してくれたらこのグッズがもらえるなどとコミカルに説明し、その中にはキャスト全員のサイン入りポスターもあった。

終演後、アンサンブルキャストと劇場スタッフが各所に立ち、募金を呼びかけながら客を見送る…最高の展開ではないか。

このシステム(あえてシステムと呼ぼう)の素晴らしいところは、『RENT』のような比較的大人の作品でこの活動を行うのではなく、子どもから大人までが観に来る作品で募金活動を行っているという点だ。

大人と一緒に子どもがAIDSを知り、そして理解して募金をして帰っていく。作品を観た満足感に上乗せして、何か社会貢献をしたという充実感が得られる。

こういった自然な流れで募金を呼びかけたりできることこそが、エンターテインメントの良さなのではないか。逆に言えば、これが自然な流れで出来なければエンターテインメントである必要はない。街頭に立って、募金を呼びかければ良いのだ。

今回『アラジン』を観て思ったこと。それは作品自体の素晴らしさ以上にその空間とシステムの素晴らしさであった。そしてこれは、日本では気づけなかったこと。日本でも近い将来、これに似た体験が出来たら良いなと思っている。

 

今回のニューヨーク旅行については、こちらの記事でまとめています。是非併せてご覧くださいね♪