自由きままに芸術鑑賞

自由気ままに芸術鑑賞

~舞台人による、舞台人のための鑑賞記録~

『キンキーブーツ』を東急シアターオーブで観た感想

三浦春馬小池徹平がキャスティングされているという点でもかなり注目されている『キンキーブーツ』。日本でも再演に再演が重ねられている作品だ。

内容的に気にはなっていた作品ではあったものの、観に行くきっかけがつかめず先延ばしに...そして今回お誘いを受けて初めて劇場に足を運ぶことに。

2019年、令和初観劇の感想をまとめた。(観劇日:2019年5月3日)

目次:

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ミュージカル『キンキーブーツ』の紹介

物語のあらすじや解説についてはこちらの記事をご覧下さい。

 

2019年の公演劇場はこちら。

東急シアターオーブ

 

公式ホームページはこちら。

 

観劇前後に立ち寄ったレストランとカフェについては、こちらの記事をご覧くださいね。



感想

久々の観劇だったことと、大好きなミュージカル“Legally Blonde”と同じ演出家(ジェリー・ミッチェル)ということもあって、純粋に楽しみにしていた。また物語は実話であるということも、個人的にはポイントが高め。(実話系の作品に弱いので...)

「普通に面白かったし、楽しかった。ただ中毒になるほどではなかった。」というのが今回の感想。

観ていて涙も出たし、ドラァグクイーン達に魅了されたし、性別を超えた関係性や生き方を知るという意味で、今観るべき作品だなという感じではあったけれど、それ以上でも以下でもなかった。厳密に言えば、何か私の中で「刺さる」ものがなかった…というのが正直なところだった。

その理由の1つは音楽かもしれない。

“Land of Lola”は凄く好きで、脳内でヘビロテするんだけれども、それ以外の音楽で私の耳に残るものがなく残念だった。

次にストーリー性。

実話とは言え、よくある物語。その上クライマックスがどこなのかが掴みづらい。全体的なテンポ感みたいなものもあるようでないような気がして、間延びしているような感じがして仕方なかった。

そう感じたのは、キャラクターが要因だろう。私にとって感情移入できる登場人物がいなかったために、ある意味第三者的に作品を見てしまったところがあったんだと思う。個性に富んでいそうに見えてそうでもなく、インパクトは強いがいまいち熱くなれるキャラクターを見つける事が出来なかった。

そしてそのキャラクターを演じている役者達こそが『キンキーブーツ』が人気な理由の1つとは思うものの、どうしても三浦春馬小池徹平ソニンをそこに見てしまっている私がいて、物語と現実を行き来してしまったところがあった。

役者がキャラクターより勝っているという訳でもなかったし、三浦春馬の歌唱力とダンス力には心底驚いた。けれど、彼をローラと認識し心酔するほど引き込まれた訳ではなかったので、ほかのキャスティングも見た時に作品自体がどう自分の目に映るか知りたいとも思った。

...と、ここまで少し辛口だったが、もちろん印象に残ったものもあった訳で。

そこまで多くはなかったダンスシーンの中、爪痕をしっかり残して行ったのがエンジェル達。本当に可愛かったし、美しかったし見惚れた。どの衣装で見ても美の象徴でしかなく、幾度となく自分と比較して、その美への磨きの掛け方違いに落胆するやらため息が出るやら。

観劇前にドラァグクイーンとはいかなるものかというのを予習して行ったところ、それはゲイではなく女性の美を尊敬した人達の総称だという発言があって納得。あぁ、こういうことかと、舞台を見て何度も頷いた。そういう意味では、作品のテーマを描く上でエンジェル達は絶対に欠かせない存在で、彼ら(彼女ら)が美しくなければ成立しないと言っても良い。私が涙したのはそこで、そこに感動が出来た点は非常に満足している。

彼らと呼ぶべきか、彼女らと呼ぶべきかは非常に悩ましいが、そういった事を超越した美の結晶をエンジェル達に見たので、この作品を通してより多くの方に性差別やマイノリティーについて考えるきっかけを持って欲しいと思う。